サラリーキャップ時代の「プロフェッショナル」の定義~未来の選手に伝えたいこと~
皆さん、こんにちは!バスケットボール選手のキャリアサポーター、SEISのミツです。
このブログを立ち上げてから、今日で40記事目。ここまで読んでくださった皆さんに、心から感謝申し上げます。
この連載では、プロバスケットボール選手である皆さんが、キャリアの岐路に立ったときに役立つ情報を、様々な角度からお伝えしてきました。
Bプレミアで導入される「サラリーキャップ制」のシビアな現実から、海外挑戦に必要なスキル、SNSでの自己ブランディング、怪我との向き合い方、そして契約書に潜む「ブラックボックス」まで、多岐にわたるテーマを一緒に考えてきました。
今日の40記事目は、そのすべてを振り返ってまとめてみようと思っています。
ズバリ、私がお伝えしたいのは、ただ一つのこと。
「プロフェッショナル」とは、コート上で結果を出すことだけではない。
これからの時代、本当のプロフェッショナルとは、自分のキャリアと人生を自らデザインし、豊かにする生き方を指すのです。
今回は、その「プロフェッショナル」の新しい定義を、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
1. お金だけでは測れない「プロフェッショナル」の価値
ご存知の通り、BリーグはBプレミアへの移行を控え、選手の年俸総額に上限を設ける「サラリーキャップ制」が導入されます。上限は8億円、下限は5億円です。
このルールは、リーグの健全な成長と戦力均衡を目的としています。
しかし、選手にとっては、「どれだけ活躍しても年俸が頭打ちになる」というシビアな現実を突きつけます。
もしあなたが、年俸だけをプロフェッショナルの基準にしているなら、この制度に直面したとき、モチベーションを保つことが難しくなるかもしれません。
しかし、立ち止まって考えてみてください。
本当にあなたの価値は、年俸だけで決まるのでしょうか?
いいえ、断じて違います。サラリーキャップ制が導入される今、あなたの価値を測る尺度は、より多角的で、より深みのあるものに変化します。
- チームへの貢献度: スタッツ(得点、リバウンド)だけでは測れない、チームを勝利に導くディフェンス、声かけ、若手への指導、そしてチームの雰囲気を良くするムードメーカーとしての役割。これらは、チームにとってなくてはならない「価値」です。
- 人間性: ファン、スポンサー、チーム関係者から「この選手を応援したい」「この選手と一緒に仕事がしたい」と思わせる、あなたの人間性そのものが価値となります。
- 社会性: バスケットボールを通して、地域社会に貢献したり、子どもたちに夢を与えたりする活動も、あなたの価値を大きく高めます。
これからのプロフェッショナルは、年俸という目に見える価値だけでなく、こうした目に見えない価値をどれだけ高められるかが重要になります。リーグもそれを理解し、「スター選手条項」という形で、年俸1.5億円以上の最高額選手を優遇する仕組みを作りました。この制度は、リーグが選手の価値を正当に評価しようとする姿勢の表れでもあるのです。
2. 未来を創る「自己投資」という考え方
プロバスケットボール選手としてのキャリアは、残念ながら永遠ではありません。いつか必ず、そのキャリアを終える日が来ます。
その時、多くの選手が直面するのが「セカンドキャリア」という壁です。
しかし、私は声を大にして言いたい。
「引退後のキャリアは、引退後に考えるでは遅すぎる!」
現役時代は、バスケットボールに集中することはもちろん重要です。
しかし、その「有限の期間」を、引退後の人生を豊かにするための「準備期間」として捉えることが、これからのプロフェッショナルには不可欠です。
それは、まるでバスケットボールの試合で、次のプレーを予測するように、人生を戦略的に考えることです。
a. 知識という名の「武器」に投資する
契約書に潜む「ブラックボックス」を前回お話ししました。怪我をした際の年俸減額条項、移籍の妨げになるバイアウト条項、そして肖像権の独占条項。これらは、知識がなければ見抜くことができません。
- 法律・税金の知識: 契約書を読む力、税金の仕組みを理解する力は、将来のあなたの財産を守るための必須スキルです。
- 語学力: 海外挑戦を視野に入れているなら、英語や他の言語を学ぶことは、プレーの幅を広げるだけでなく、引退後のキャリアにも必ず役立ちます。
b. 人脈という名の「ネットワーク」に投資する
あなたの周りには、バスケットボール関係者だけでなく、様々な業界の専門家やビジネスパーソンがいます。
- SNSでの交流: 自分の想いをSNSで発信し、ファンだけでなく、スポンサーやメディア関係者、そして他業界の人々と繋がる。これは、引退後の新たな仕事のチャンスに繋がります。
- スポンサーとの関係構築: スポンサーは単なる支援者ではありません。彼らはビジネスのプロです。彼らとのコミュニケーションを通じて、マーケティングや営業のスキルを学ぶことができます。
c. セカンドキャリアという名の「種」を蒔く
引退後の自分に何ができるか、現役のうちから考えてみましょう。
- 例: バスケットボールのコーチング、チーム運営、メディアでの解説者、ビジネスの世界への挑戦…。
- 具体的な行動:
- オフシーズンに、興味のある分野のセミナーに参加してみる。
- チーム外のイベントに積極的に参加し、異業種の人々と交流してみる。
- 小さなことでもいいので、自分でビジネスを立ち上げてみる。
これらの自己投資は、あなたの選手としての価値をさらに高め、引退後の人生を豊かにする「種」となります。
3. 行動を起こす勇気と、隣にいるべき存在
ここまで、サラリーキャップ時代のプロフェッショナルになるための考え方をお話ししました。
「分かったけど、何から始めればいいか分からない…」
そう感じた方もいるかもしれません。しかし、最も重要なのは、**「行動を起こすこと」**です。知識を得るだけでは、あなたの未来は変わりません。
そして、その一歩を踏み出す勇気を、私は全力で応援したい。
私自身も、46歳という年齢から、エージェントという新しい世界に挑戦しています。周囲からは「バカだ」と言われるかもしれません。バスケの専門家でもなく、人脈も多くありません。
それでも、先日見たある映画に勇気をもらいました。周囲の嘲笑をものともせず、ただひたむきに目標に向かって努力する主人公の姿を見て、「自分も必死にやればできる。そう信じて本気でやってみよう」と思えたからです。
この気持ちを忘れず、私は選手である皆さんの隣に立ち、一緒に未来を考えていきたいと思っています。
プロフェッショナルとして、あなたの人生をデザインしていく上で、一人で悩む必要はありません。
- 契約交渉について誰に相談すればいいのか分からない
- 自分の市場価値が知りたい
- セカンドキャリアの選択肢が知りたい
- SNSでの自己ブランディングについてアドバイスが欲しい
そんなときは、一人で抱え込まず、信頼できるパートナーに相談してください。
私は、単なる「交渉代行屋」ではなく、あなたの人生の「伴走者」でありたいと考えています。
4. まとめ:プロフェッショナルは「生き方」そのもの
いかがでしたでしょうか。
これからのBリーグで「プロフェッショナル」として生き抜くために、最も重要なのは、
- バスケットボール選手である前に、一人の人間として、どれだけ成長できるか
- 自分の人生に、どれだけ真摯に向き合えるか
ということだと、私は考えています。
あなたのキャリアは、コート上でのプレーだけでなく、コートの外でのあなたの生き方そのものです。
サラリーキャップ制は、そのことを選手に気づかせるための、リーグからのメッセージなのかもしれません。
これからも、皆さんの挑戦を、心から応援しています。
私はJBAのエージェント登録がまだなので… ※「当サイトは、個別の契約交渉や法的アドバイスを行うものではなく、一般的な情報提供を目的としています」 ※あくまで「選手自身が交渉に臨むための知識を身につける」ための情報提供を主体としています。