優勝したのに年俸が下がる?「サラリーキャップ」のシビアな現実を、MLSの事例から学べ
皆さん、こんにちは!バスケットボール選手のキャリアサポーター、SEISのミツです。
前回は、Bプレミアに導入される「サラリーキャップ制」について、その概要と、選手にとっての光と影についてお話ししました。
「天国にも地獄にもなりうる」という言葉に、ドキッとした選手も多かったのではないでしょうか?
今回は、その「地獄」の側面、つまり「活躍したのに年俸が下がる」という、プロアスリートにとって最もシビアな現実を、海外サッカーの事例から深く掘り下げていきます。
**サッカーのMLS(メジャーリーグサッカー)**も、サラリーキャップ制を導入しているリーグの一つです。
そして、昨シーズンにMLSカップを制覇した、とある日本人スター選手に、このサラリーキャップの洗礼が降りかかりました。
その選手とは、元日本代表キャプテンの吉田麻也選手です。
1. 優勝の立役者、吉田麻也選手が直面した「現実」
吉田麻也選手は、昨シーズン、ロサンゼルス・ギャラクシーのキャプテンとしてチームを牽引し、MLSカップ優勝(全米制覇)という偉業を成し遂げました。まさにチームの顔、優勝の立役者と言える存在です。
当然、多くの人は「来シーズンは年俸が大幅にアップするだろう」と考えたはずです。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
- 優勝後の契約更改:
- チームは吉田選手との契約更新を望んだものの、サラリーキャップ制というルールが立ちはだかりました。
- 結果的に、提示された新契約の年俸は、前年度の80万ドル(約1億2000万円)を下回るものだったのです。
このニュースは、多くのサッカーファンに衝撃を与えました。
なぜ、優勝に貢献したキャプテンの年俸が下がってしまうという、信じられない事態が起きたのでしょうか?
2. サラリーキャップがもたらす「シビアなトレードオフ」
その答えは、サラリーキャップ制の持つ**「トレードオフ」**という考え方にあります。
- チームの視点:
- MLSでは、チームの年俸総額に上限が定められています。
- 優勝したチームは、翌シーズンも同じメンバーで戦いたいと考えるのが普通です。
- しかし、優勝した選手たちの市場価値は上がり、年俸も高騰します。
- 全員の年俸を上げると、チームの年俸総額が上限を超えてしまい、厳しいペナルティが課せられます。
- そこでチームは、「誰かの年俸を下げて、他の選手の年俸を上げる」という、苦渋の選択を迫られるのです。
LAギャラクシーは制度遵守ために昨季プレーオフ5試合で6得点を挙げたFWヨヴェリッチら活躍した若手選手たちをトレードしなければならず、チームで唯一契約更新のタイミングを迎えた吉田の年俸は下げられる事態にとなりました。チームのサラリーキャップを維持するためには、彼の年俸を下げる必要があったんです。
これは、プロの世界のシビアな現実であり、吉田選手のようなトップレベルの選手ですら、このルールからは逃れられないということです。
3. Bプレミアでも起こりうる「優勝したのに年俸が下がる」現象
このMLSの事例は、決して他人事ではありません。
これからBプレミアでサラリーキャップ制が本格的に導入されれば、同じような現象が起こりうる可能性は十分にあります。
- Bプレミアのルールを再確認:
- 上限8億円、下限5億円という年俸総額のルールは、各チームが選手の獲得に使える予算に上限を設けています。
- チームが8億円ギリギリまで使って優勝したとします。
- 優勝メンバーを維持するためには、誰かの年俸を下げるか、他の選手を放出するかの選択を迫られるでしょう。
これは、選手にとって非常に厳しい現実です(もちろん優勝を狙うチームにとっても厳しい現実です)。
しかし、だからこそ、あなたは「サラリーキャップ制」というルールを正しく理解し、自分のキャリアを守るための知識を身につける必要があります。
4. この「シビアな現実」から何を学ぶべきか?
吉田麻也選手の事例から、僕たちが学ぶべきことは、単なる年俸の増減だけではありません。
① 年俸以外の「価値」に目を向ける
- なぜ重要か: サラリーキャップ制下では、年俸だけを追い求めるのではなく、年俸以外の「契約条項」(肖像権、引退後のサポートなど)を交渉の材料にすることが重要になります。
- こんなこともありかも…
- 「年俸は下がってもいいから、試合で勝ったら寿司食べ放題の契約にしてくれ!」と交渉すれば、意外とクラブが乗ってくれるかもしれません。
- このように、固定概念にとらわれず、様々な価値を見出すことが大切です。
② 代理人との「戦略」を共有する
- なぜ重要か: サラリーキャップ制は複雑なルールです。選手一人でこのルールを完全に理解し、交渉を有利に進めるのは困難です。
- 代理人の役割: あなたの代理人は、サラリーキャップのルールを深く理解し、その中であなたの価値を最大限に高めるための戦略を練る必要があります。吉田選手のように、代理人と共に、年俸減という厳しい決断をする必要があるかもしれません。
5. まとめ:「地獄」を「天国」に変えるために
優勝に貢献したのに年俸が下がる。これは、多くのプロ選手にとって、納得しがたい「地獄」の出来事かもしれません。
吉田選手も「正直なところ非常に不公平だと感じている。王者になっても給料が減る。このようなことがあってはならないと誰しもが分かっています。サッカー以外で稼ぐ必要がある」と話していたようです。
しかし、この事実を正面から受け止め、**「なぜ?」**という問いを突き詰めることで、あなたは自分のキャリアをより深く見つめ直すことができます。
そして、サラリーキャップというルールを理解し、年俸以外の価値を見出し、代理人と共に戦略を練ることで、この「地獄」を、あなたのキャリアをさらに豊かにする「天国」に変えることができるはずです。
もし「どうやって交渉に臨めばいいか分からない」「年俸以外の条件ってどう交渉すればいいの?」といったお悩みがあれば、一人で抱え込まずに、ぜひ一度私にご相談ください。
あなたの夢を現実に変えるための「人生のパートナー」として、全力でサポートできることを心から願っています。
私はJBAのエージェント登録がまだなので… ※「当サイトは、個別の契約交渉や法的アドバイスを行うものではなく、一般的な情報提供を目的としています」 ※あくまで「選手自身が交渉に臨むための知識を身につける」ための情報提供を主体としています。